犬とご飯

【どうする?をシンプルに】ご飯を食べない老犬 -犬が高齢になったら-

今日の相談
「飼っている犬が高齢になり、最近は食欲もあまりないみたいで、ご飯(ドッグフードもしくは手作りご飯)をあまり食べてくれなくなって心配。無理なく食べて幸せに長生きしてほしい。」

こんな相談にお答えしていきます。

この記事は私、コタローが書いています

著者 ペット栄養管理士

 

本記事の内容

  • 愛犬が高齢になり、ご飯をあまり食べなくなったときの対処
  • 老犬により必要な栄養素と食材
  • 愛犬の老化が進み、寝たきりになった時の食事について
  • 愛犬の寿命が近づいてきたときに

犬は7歳を過ぎると一般的に老犬・高齢犬と言われます。7歳でも元気いっぱいのわんちゃんも多いですが、7歳という年齢が老犬の入口の目安になります。

人間と同様に、老犬になると代謝が落ちますし、消化能力が低下していきます。その結果、食が細くなります。加えて、歯や歯茎のトラブル、筋力の衰えや身体の痛み、何か“病気持ち”など、食欲不振につながる要素が老犬になると増えてきます。高齢前期⇒高齢後期に差し掛かればなおさらです。

ただ、老犬になり代謝が落ちたとしても、必要な栄養素は摂取していかねばなりません。

老犬がご飯を食べなくなる理由には、高齢化に伴う「身体の変化」「心の変化」、および「病気の影響」によるものがあります。

病気の影響によるものに対しては動物病院に相談すべきですが、病気以外の要因に関して“家でできること”があります。

「ご飯を食べなくなってきた老犬のためにできること」について整理しましたので、記事をご覧ください。

 

1.老犬がご飯を食べない理由とその対処

老犬がご飯を食べなくなる理由には、
・老化に伴う身体の変化によるもの
・老化に伴う心の変化によるもの
・病気の影響によるもの
があります。

1-1 老化に伴う身体の変化によるもの

以前は食欲旺盛でバクバク食べていた愛犬の食が細くなることは、寂しく感じます。
加齢にともない、老犬となった愛犬には以下の変化が起こっている可能性があります。

・嗅覚や味覚の低下
犬は味覚を感じ取る力は弱いですが、嗅覚は強いです。匂いは食欲を促すため、加齢に伴って嗅覚が弱くなると食欲がわきにくくなります。

・食べ物の好みの変化
老犬になると、必要な栄養素も変化していきますので、食べ物の好みが変わることがあります。

・歯が弱くなる、飲みこむ力の低下
歯が弱くなると、噛む力が弱くなりますし、歯がグラついている場合などは、噛むと痛みがあるかもしれません。また、一方で老犬は飲みこむ力が弱くなる傾向にあります。今までと同じ食べ物は、“食べにくい”可能性があります。

・基礎代謝や運動量の低下、内臓や消化機能の低下
加齢にともなって基礎代謝が低下しますし、運動量も減るわんちゃんがほとんどです。また、消化機能や内臓機能の働きも低下する場合も多く、空腹感を感じにくく、食欲がわきにくい状態にあることが考えられます。

<対処してほしいこと①>
今までと「“食べ物”を変えて、“あげる量と頻度”を変える」ことをおすすめいたします。
食べ物は、“柔らかく香りが良いもの”に変えましょう。

一番のおすすめは、手作りご飯でスープや煮込んだご飯をあげることです。

老犬のための簡単手作りご飯(例)

★★「かぶと厚揚げのスープ」★★
Fairydogs高岡まちこさんのレシピより)


火の通りが早く、柔らかくなるのでかぶは栄養満点。またほのかに甘いので、犬に人気の食材です。鶏ささみの良質なタンパク質とともにあげたい犬ご飯です。

食材:10kgの犬の1食分(1日-2食)の目安

・鶏ささみ[100g]
・かぶ(根の部分)[30g]
・かぶ(葉の部分)[20g]
・にんじん[10g]
・厚揚げ[40g]
・ご飯[80g]
・かつお出汁[適量]※なければお湯で可
・出汁をとった後のかつお[適量]
・すりごま[適量]

作り方(調理時間15分)

1.鶏ささみを茹でておく
2.かぶの根と葉を食べやすい大きさに切り、にんじんは細かく刻むか、すりおろしておく
3.出汁(なければお湯)で、かぶとにんじんを煮て、厚揚げを入れてひと煮立ちさせる
4.3をお皿に盛り、ごはんとささみをのせる。お好みですりごまと、出汁でとったかつお節をかけて、冷めたらできあがり

<その他の「老犬向けレシピ」例>
・ドッグ☆いわしのつみれ汁
・柔らか野菜スープ
・鮭と野菜のほっこり豆乳煮

良く煮込んだご飯やスープご飯は、柔らかくて歯が弱い犬でも食べやすいですし、香りも豊かで食欲をそそります。

手作りをする時間が取れない方は、手作りご飯風のフードも最近は市販されていますのでお試しください。お手持ちのドライフードを活用する場合は、お湯や出汁でよくふやかしてあげてみてください。いつも同じものをあげるのではなく、複数をローテーションするなどで変化をつけてあげることも効果的です。

また、“あげる量と頻度”を少々変更してみましょう。老犬になると消化機能や内臓機能が弱ってくるため、一度に多くのご飯を食べることは負担です。
「一度にあげる量を減らして、代わりにご飯の回数を(例えば)1回増やす」ことで食べやすくなります。

 

<対処してほしいこと②>
老犬になり、今までと同じ姿勢では”食べづらい”思いをしている可能性があります。


老犬は、首や足の筋肉の衰えから、首を下げた状態を維持しながら食事をすることが辛くなります。関節にも負担をかけてしまいますし、飲み込みづらい要因になったりします。

 食器台や、高さのある食器を用意して、ご飯を口元の高さにしてあげることで、姿勢が楽になりご飯を食べやすく、飲み込みやすくなります。

 

<対処してほしいこと③>
適度な運動を行いましょう。
もちろん、どこか身体が辛いにも関わらず無理やり運動させるようなことはNGですが、老犬にとっても適度な運動は身体のために良く、お腹もすきやすくなります。

必ずしも屋外の散歩でなくても室内でできる運動もあります。外部のサイトですがこちらも参考になります。

 

1-2 老化に伴う心の変化によるもの

犬は高齢になるにしたがって、ストレス耐性が弱くなると言われています。体力の低下等により自信がなくなるためとも、感覚機能の衰えによる不安とも言われていますが、ストレス下では食欲がわかないことがあるのです。
これは、ストレスを受けると血糖値が上昇する成分が分泌されるので、満腹中枢を刺激してしまうためです。(人間と同様です)

<対処してほしいこと>
もしも、愛犬がストレスを感じている(リラックスできていない)と感じたら、気分を緩和させてあげてからご飯をあげることが良いと思います。
例えば、ご飯の前に軽く遊んであげたり、触れ合ってあげたりしてリラックスをさせてからご飯をあげるようにしてみてください。

 

1-3 病気の影響によるもの

病気によって食欲が低下してしまうことや、治療や薬の副作用で食欲が低下してしまうことがあります。認知症によるご飯を認知しづらくなる、などもあります。

病気に関して、飼主にできることはほとんどありません。
飼主にできることは、早く異変に気づき動物病院に相談することです。

愛犬に食欲不振以外の異変がないかをチェックしましょう。
異変の例としては、
・嘔吐
・下痢や血便
・水を飲まない
・どこかを痛がる
・元気がない/ぐったりしている
です。

上記に加えて、口の中をチェックし「(以前よりも)口臭がきつくなった」、「歯がぐらついている」や「歯茎が腫れている/炎症」がないかを調べてください。
歯や口の中に痛みやトラブルを抱えている場合があります。
歯槽膿漏や歯周病に伴って歯や歯茎に痛みを伴っていたり、口内にできものができているとご飯が食べれなくなるからです。

これらの異変に気付いたら、動物病院に相談をしてください。

動物病院による診療以外で、我々飼主にできることは「1-1 老化に伴う身体の変化によるもの」「1-2 老化に伴う心の変化によるもの」で書かせて頂いた“対処”と同様です。

 

 

2.「老犬のために」より意識したい栄養素・食材

老犬になれば代謝が落ち、運動量も減って消化能力も低下、食欲も減退します。少ない量で効率よく栄養を摂取することが望ましいです。
老犬と若いころで必要な栄養の種類が大きく変わるわけではありませんが、特に意識したい栄養と食材を紹介します。

★筋肉を維持するため“良質な動物性タンパク質”を摂りましょう。
<食材>
ささみ、鶏むね肉、魚などから良質なタンパク質が摂取できます。(牛肉、豚肉等もOKです)

★抗酸化作用の高いビタミンEやポリフェノール類、カロテノイド等を含む食材を摂りましょう。
<食材>
かぼちゃ、ニンジン、リンゴ、ブロッコリー、小松菜、ほうれん草など
※ブロッコリーやほうれん草、小松菜は、茹でてシュウ酸を落としてから使うことをおすすめします。

★オメガ3脂肪酸であるEPAやDHAを摂取して、認知症/癌の予防や細胞膜や皮膚の健康維持を!
<食材>
イワシやサンマなどの青魚、鮭、魚油、亜麻仁油、えごま油など

★整腸作用や便秘予防になる「プロバイオティクスとプレバイオティクス」のセットを摂取しよう。
※プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ることで、お腹の善玉菌を増やすことができます。
<プロバイオティクスを含む食材>
ヨーグルト、納豆、チーズなど

<プレバイオティクスを含む食材>
ゴボウ、キャベツ、アスパラ、リンゴ、バナナ、さつまいもなど

これらの食材を使ったご飯が老犬の身体を支えます。
水分を一緒にたくさん摂取できる手作りご飯を通じてあげることをおすすめしています。

ご飯を作る際の注意点としては「消化を良くすること!」です。
食材を細かくする、良く煮込む/火を通す、圧力鍋を使う、などの工夫をしてあげてください。

老犬のための栄養満点ご飯(例)

★★「抗酸化を目指した鮭のご飯」★★
にょしちゃんさんのレシピより)

食材:2.0kgの犬の1食分(1日-2食)の目安

・鮭のあら[8~10g]
・ブロッコリー[適量]
・キャベツ[適量]
・にんじん[適量]
・舞茸[適量]
・りんご[適量]
・サツマイモもしくはジャガイモ[適量]
・昆布[少々]
・カッテージチーズ、黒ゴマ[少々]

作り方(調理時間15分)

1.にんじん、舞茸、サツマイモ(もしくはジャガイモ)は茹でておき、昆布、湯を加えてフードプロセッサーでペースト状にしておきます。これは作り置きできます
2.ブロッコリーは茹でて(茹で汁は捨てます)火を通して柔らかくしておき、穂をハサミで切り落とします
3.キャベツハみじん切りにし、すりおろしたりんご、ブロッコリの穂、ペーストをまぜます
4.火をとおした鮭のあらをほぐしたもの、黒ごまをのせます
5.さらに湯を加えおじやにし、カッテージチーズをのせます

<その他の「老犬向けレシピ」例>
・老犬用特別レシピ♪
・夏野菜たっぷり、サケ雑炊
・抗酸化力UP!彩り鮮やか★チキンオレンジ

老犬は消化機能が弱っているので、少なめの量を何回かに分けてあげるようにしてください。

 

3.自力で起き上がれない(寝たきりの)老犬へのご飯について

体力がかなり落ちている場合、寝たきりになると極端に食べれる量が減ります。
元気な頃から見てきた飼主の我々からすると、せつない気持ちになりますし、時折息が詰まるような思いをするかもしれません。
でも、この時期も含めて犬の一生です。少しでも愛犬が快適な生活を送れるように取組みましょう。

●少量で栄養を摂れる高タンパク質・高カロリーなものを中心にあげる
少ない摂取量で栄養を得るために、鳥皮などの脂肪を含む肉をあげましょう。
高タンパク質・高カロリー食材の例は、豚バラ肉、鶏肉でいえば皮つきモモ肉、その他牛バラ肉などです。これらを中心のご飯にします。

その他の食材は、「2.老犬のために、より意識したい栄養素・食材」でお伝えした食材を活用いただいてOKですが、大事なことは作り方です。

●ペースト状の流動食にしてあげる
この時期の老犬は、自分で食べる力が極端に落ちています。もちろん消化能力も落ちています。

ご飯の作り方とあげ方が重要になります。
・食材を煮込む、または圧力鍋を使って柔らかくし、
・ミキサー等を使って、ペースト状にします。
・犬の上半身を抱きかかえたり、頭の下にクッションを下に入れるなどで、犬の上半身を起こしてあげてください(犬の頭をお座りの時と同じように立てると飲み込みやすくし、食べ物が気管に入るのを防ぎます)
・ペースト状にしたご飯をシリンジに入れ、犬の口の中に流し込んであげてください。
(シリンジがなくスプーンを使ってあげる場合は、少量を口の横側から入れてあげるようにしてください)
・もし、愛犬が自分で食べたがるようであれば、お皿を口元に近づけてあげてください。

犬にとってご飯は楽しい時間です。
できるだけ優しく、話かけながら上げるようにしましょう。
また、ご飯をあげるサインとして指にペースト状にしたご飯をつけて舐めさせてあげると、「ご飯だ!」と犬の心に準備ができます。

 

4. 寿命が近づいてきた愛犬へのご飯について

ご飯を全く食べない時期がやってきたら、それはその子の寿命が近いのかもしれません。もちろん、点滴などによって一定の回復する場合もあります。かかりつけの獣医に相談し、どのような過ごし方をするかを話し合ってください。

ご飯を食べられなくなり、点滴もしていない場合は、残された時間は数日程度なことが多いと思います。(その子の体力にもよりますが、数週間ということはないと思います)
また、最期が近い子は、嘔吐や下痢を頻繁にすることがあります。

一緒に生きてきた相棒であり、家族である愛犬の残された日々を、少しでも楽しく穏やかな時間にしてあげてください。
水やスポーツドリンクをスポイトや脱脂綿をつかって口に入れてあげて、水分補給だけは気を付けてあげてください。
もしも、少しでも食べれるようであれば、その子の好きな美味しい食べ物をあげてください。

栄養のことは考える必要ありません。ヨーグルトでもいいですし、プリンやクリームなど、甘いものでも構いません。“愛犬が喜んでくれる物”をあげてください。

それが、飼主が最後に愛犬にあげられるご飯です。

 

まとめ

老犬、高齢犬といいますが、犬の一生のうちでおよそ半分は老犬の時期、高齢犬の時期になります。また老犬といっても、シニア前期、シニア後期、シニア末期で変わっていきます。

栄養バランスも大事ですが、それよりも“いかに喜んで食べてくれるか”が重要になっていきます。
また、食べ物だけでなく、いかに穏やかに一緒に過ごしていけるか、が大事です。

シニア後期以降は介護が必要になるケースがほとんどでしょう。これは特別なことでもありません。ある意味、割り切って、先ずは飼主ができるだけ穏やかな気持ちを持ち、愛犬との時間を過ごしていきましょう。

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